【体験談】任意整理と個人再生の違い|借金1274万円で任意整理を選んだ理由と後悔しない選び方
※筆者の体験談に基づく内容で、法的助言ではありません。状況により結論は変わります。最終判断は弁護士・司法書士へご相談ください。
「借金が1000万円を超えたら、個人再生で大幅に減額できるはず…」
そう思っていませんか?
こんにちは、借杉です。私も最初はそう信じていました。
理由は「借金の額」ではなく、相続した実家(土地持分)の資産価値(清算価値)が高すぎて、個人再生をしても借金がほぼ減らない構造だったからです。
その結果、最も支払いが厳しいと言われがちな任意整理で進める判断になりました。
私はネットで調べて「個人再生なら260万円前後まで圧縮できるはず」という情報を見つけ、弁護士にも相談しました。
実際に弁護士からも「条件が整えばそれくらいになる可能性はある」という説明があり、当初は個人再生を本気で考えていました。
ところが、面談で提示されたのが相続した実家の“清算価値”でした。
この一点で、私の計画は崩れました。
- 任意整理と個人再生の違いは「借金がどれだけ減るか」だけでなく、資産(清算価値)が返済額に影響するかにある。
- 私は借金1274万円だったが、相続した実家の土地持分が路線価ベースで1億円超と言われ、個人再生で260万円前後に圧縮という前提が崩れた。
- 結果として家と生活環境を守るために任意整理を選択。受験費用も見据え、家計を作り替えて返済を回している。
借金1,274万円に至った経緯や債権者の内訳は、借金1,274万円の体験談で公開しています。
任意整理と個人再生の違い|まず押さえる比較ポイント
比較表はよく見かけますが、「違い」を理解するうえで重要なのは次の4点です。
- 借金の減り方:任意整理は主に将来利息カット、個人再生は元金圧縮が狙える
- 資産(清算価値)の影響:任意整理は原則資産価値が返済額に直結しないが、個人再生は直結する
- 家(住まい)の扱い:任意整理は対象外にすれば守れる/個人再生は住宅ローン特則など条件あり
- 周囲に知られるリスク:個人再生は官報掲載がある(ただし現実的な発覚はケース次第)
任意整理 vs 個人再生:比較表(早見)
| 項目 | 任意整理 | 個人再生 |
|---|---|---|
| 借金の減額 | 将来利息のカットが中心 (元金は原則残る) |
元金圧縮が狙える (ただし条件で変動) |
| 清算価値(資産価値) | 原則、返済額に直結しにくい | 重要 資産価値が高いと減額が消えることがある |
| 資産の影響 | 原則、資産が返済額に直結しにくい | 清算価値が論点 資産評価次第で減額が小さくなることがある |
| 家(持ち家) | 対象外にすれば守れる (住宅ローン等を外す) |
守れる可能性あり (住宅ローン特則など条件あり) |
| 官報掲載 | なし | あり |
| 費用目安 | 1社ごと(事務所により差) | まとまった費用(事務所により差) |
| 期間目安 | 数ヶ月〜 | 半年〜1年程度 |
私はこの比較を頭では理解したつもりでした。
でも、実際に自分の状況に当てはめたとき、決定打になったのが清算価値でした。
個人再生で260万円のはずが崩れた|面談で出てきた「清算価値」
個人再生の情報を調べていた私は、「借金1274万円なら、圧縮後は260万円前後になるはず」と考えていました。
弁護士に相談した際も、条件が整えばそのライン感はあり得る、という説明でした。
私は面談に登記簿謄本を持参しました。
「家(実家)が絡むと話が変わるかもしれない」と思ったからです。
そして弁護士から出てきたのが、実家の土地の評価と、私の持分の清算価値でした。
清算価値については、私がネットで深掘りして理解したというより、弁護士に説明されて初めて腹落ちした感じです。
個人再生では、手続き上「資産価値があるなら、その価値以上の返済が必要になる」方向に働くことがある。
つまり、資産価値が高いほど、借金の圧縮が小さくなったり、実質的に圧縮が消えたりするケースがある。
※資産評価や返済額の扱いは個別事情で変わるため、必ず専門家に確認してください。
相続した実家が「資産」になってしまった|共有名義と持分の現実
私が住んでいるのは、父から相続した築60年の実家です。
建物は古いですが、問題になったのは土地の評価でした。
土地の名義は共有で、内訳は次の通りです。
- 母:2分の1
- 姉:4分の1
- 私:4分の1
持分だけで2500万円超と言われた(路線価ベースの試算)
弁護士の先生が登記簿謄本を見ながら試算したところ、実家の土地は路線価ベースでも総額1億円を軽く超えそう、という話でした。
さらに先生は、「路線価はあくまで評価の目安なので、実勢価格(実際に売買される価格)ならもっと高くなる可能性がある」という趣旨の説明でした。
単純計算ではありますが、土地全体が1億円超のレンジだとすると、私の持分(4分の1)だけでも2500万円以上という見立てになります。
この時点で、私の頭の中にあった「借金1274万円 → 個人再生で260万円前後」という計画が、現実と噛み合わなくなりました。
借金の額だけで「個人再生一択」と決め打ちすると危ない――このとき初めて、その意味を体感しました。
- 借金総額:1274万円
- 資産価値(土地持分の清算価値):2500万円以上(試算)
資産価値が借金を上回っているため、個人再生を申し立てても「圧縮して260万円へ」という発想が成り立ちにくい。
減額が消える、もしくは非常に小さくなる可能性が高い――そんな説明でした。
「借金が減らないのに、費用負担や官報掲載のリスクは背負う」
それなら個人再生を選ぶ意味が薄い。私はそう判断しました。
「じゃあ実家を売ればいい」と言われがちですが、共有名義です。
母と姉が別に暮らしているとはいえ、私の借金の都合で「売って現金化してほしい」と言えば、家族関係は壊れます。
そして住む場所も失います。
持ち家と債務整理の関係は、任意整理で持ち家は守れる?でも整理しています。
妻に伝えたこと|個人再生の覚悟が崩れ、任意整理で進める現実
私は妻に借金を告白するとき、こう伝えました。
- 本当は覚悟を決めて個人再生(官報に載る可能性)で一気に立て直すつもりだった
- しかし、相続実家の清算価値のせいで、それができなかった
- 結果として厳しい道だけど、任意整理で進めている
「楽になるはずの道が閉ざされた」という事実は重かったですが、家計を回すには共有が必要でした。
借金を家族に打ち明けるまでの葛藤と、妻の反応は借金を家族に打ち明けるべき?に書いています。
任意整理を選んだ理由|受験費用と生活環境を守るため
任意整理は元金が残ります。支払いは正直きつい。
それでも任意整理を選んだ理由の一つが、長男の受験と進学です。
受験〜入学で、短期的にまとまった現金が必要だった
受験費用の見通しは、ざっくり次の通りです。
| タイミング | 費用の目安 | メモ |
|---|---|---|
| 2月 | 約18万円 | 受験料 |
| 入学手続き | 約25万円 | 入学金等 |
| 3月末 | 約40万円 | 施設費・制服・教材など |
| 毎月 | 約5万円 | 学費等 |
受験直前に生活環境を崩す選択(住居の移転など)は、現実的ではありませんでした。
私は「子どもの努力を大人の事情で踏みにじらない」ことを優先しました。
家計で実際にやったこと|任意整理を回すための現実的な改善
任意整理で進める以上、家計を作り替える必要がありました。私がやったことは次の通りです。
- オートチャージを停止(現金管理を徹底)
- 外食を減らし、自炊を増やした
- エンタメ系サブスクはすべて解約
- プロバイダは解約連絡→月額割引の提案が出たので継続
- スマホはもともと格安SIM(維持)
- クレジットカードは妻名義に切り替え/家族カードは廃止
- 妻の買い物は妻が支払う(家計の線引きを明確化)
- メルカリで購入・売却を活用(支出最適化と現金化)
どれも地味ですが、積み上げると効きます。任意整理は「制度」ではなく、結局は家計の運用が勝負だと痛感しています。
後悔しない選び方|任意整理と個人再生、私はこう判断した
私の結論はこうです。
「借金がいくらか」より先に、資産(特に不動産・共有持分)の清算価値がどれくらいかを確認する。
ここで個人再生の“減額が消える”なら、任意整理(あるいは別の設計)を現実的に考える。
任意整理を検討しやすい人
- 守りたい資産(家・共有不動産など)がある
- 相続不動産などで清算価値が高くなりそう
- 官報掲載を避けたい
- 安定収入があり、元金返済の見通しが立つ
個人再生を検討しやすい人
- 借金が大きく、元金圧縮が必要
- 清算価値が低い(資産が少ない)
- 住宅ローン特則など、条件を満たせる可能性がある
よくある質問(FAQ)
Q. 借金1000万円なら個人再生が有利ですか?
A. 可能性は高いですが、資産(清算価値)の有無で結論が変わります。私の場合は相続実家の土地持分の清算価値が高く、個人再生での減額が成立しにくい構造でした。
Q. 清算価値って結局なんですか?
A. 私の理解では「資産価値があるなら、その価値以上の返済を求められる方向に働く基準」です。個人再生の減額を考えるとき、借金額より先に確認すべき論点だと感じました。
Q. 任意整理で持ち家は守れますか?
A. 任意整理は整理する債権者を選べるため、住宅ローン等を対象から外せば、家を手放さずに進められる可能性があります。詳しくは任意整理で持ち家は守れる?にまとめています。
Q. 官報掲載はバレますか?
A. 私は「背に腹は代えられない」と覚悟して個人再生をするつもりでした。ただ、リスクの感じ方や環境で異なるため、現実的な可能性も含めて専門家に確認するのが安全です。
Q. 路線価と実勢価格って何が違う?個人再生に関係ある?
A. 私は弁護士から「路線価は評価の目安で、実勢価格は実際の売買価格。前提によって評価は変わる」と説明されました。
個人再生では資産評価(清算価値)が論点になることがあるため、不動産が絡む場合は“借金額だけ”で判断せず、早めに専門家に見立てを確認した方が安全だと感じました。
※読むのがつらいときは、いったん閉じて大丈夫です。必要なところだけ拾ってください。
まずは「あなたのケース」で、どの手続きが現実的か確認する
借金の減額診断を試してみる
(入力項目・連絡有無はサービスにより異なります)